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2014年04月23日 カテゴリー:

矢野寛治さん講演会「伊藤野枝の影と光」

 伊藤野枝とは縁戚関係にあり、『伊藤野枝と代準介』の著書がある矢野寛治さんにご講演いただきました。

矢野さんの奥様は、伊藤野枝を育英した叔父・代準介の曾孫にあたります。奥様のご実家には、代の自叙伝である『牟田乃落穂』が伝えられており、『伊藤野枝と代準介』はこれを読み解く形で執筆されています。これまで、地元でもあまり知られていなかった伊藤野枝の人生が詳しく検証されるほか、野枝自身が書いた小説の影響で誤解されていた代準介の真実の姿も明らかにされています。

今宿(現福岡市西区)の貧しい家に生まれ、口減らしに他家に預けられた野枝は、持ち前の負けん気で人生に立ち向かいます。はじめは代の娘で、自らにとっては従姉にあたる千代子をライバルとし、上野高等女学校では裕福な同級生、さらに「青鞜」では、当時最高の教育を受けた女性たちに挑んでいきます。矢野さんは、野枝のこうした姿勢を、持って生まれた宿命に「生きた証」を刻んだと評します。そんな野枝が、大杉栄との出会いを通して、宿命の影から、意志と努力で勝ち得た光の世界へ足を踏み出していくことを説かれました。

伊藤野枝と言えば、葉山日蔭茶屋事件などのスキャンダルで記憶されがちですが、矢野さんは野枝がその早すぎる晩年に、「女工」「女中」「娼妓」といった底辺女性の地位向上に努めたことを挙げ、真の女性解放運動として再評価を促しています。

また、講演ではご自身が監修するテレビ番組収録のため、実現した瀬戸内寂聴さんとの対談の様子なども紹介いただきました。

野枝のような「真実一路」の人生か、はたまた世間と調和する「良妻賢母」の生き方か。今日も決して古びない問いです。

矢野寛治さん講演会

【日時】2013年11月23日13:30~15:00

【会場】北九州市立文学館

【参加者】86人

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