学芸員だより

2018年07月10日 カテゴリー:

「無法松の一生」ヴェネツィア映画祭金獅子賞受賞楯、展示中

梅雨が明け、小倉は、祇園太鼓の太鼓の音が鳴り響く時期となりました。

小倉祇園太鼓といえば、「無法松の一生」です。

岩下俊作の「富島松五郎伝」を、伊丹万作が脚本化し、盟友の稲垣浩が監督を務めた「無法松の一生」は、1943年、阪東妻三郎主演で映画化されました。

しかし時代は戦時中。軍部の検閲により、賭博の場面と、松五郎が吉岡夫人の手をとる場面がカットされました。それでも娯楽の少なかった時代、民衆には大好評で迎えられました。さらには戦後、GHQの占領下でも、敏雄が「青葉の笛」を歌う場面が軍国主義的であるという理由でカットされました(このときカットされたフィルムはカメラマン宮川一夫の遺品から発見)。「無法松の一生」は戦前戦後、二度にわたる検閲により、完全なものではなくなってしまったのです。

稲垣浩監督は、完全なものを残したいと、三船敏郎主演で「無法松の一生」を撮り直し、1958年、再度公開されました。それがヴェネツィア映画祭に出品され、最高賞である金獅子賞を受賞します。

今回展示している楯は、原作者である岩下俊作に贈られた金獅子賞の受賞楯です。

受賞楯は8月31日までの期間限定展示です。この機会にぜひご覧ください。

北九州小倉に生きた義理と人情の男、無法松こと富島松五郎。

小倉祇園のこの季節、あらためて映画を見るのもよいのではないでしょうか。

 

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