学芸員だより

2014年11月12日 カテゴリー:

宙のかけらたち―詩人 宗左近展―やってます。

10月25日から「宙のかけらたち―詩人 宗左近展―」が開会しました。

遅くなりましたが、展覧会の見どころを少しばかり。

今回の展覧会、第一部では宗左近の生涯を写真、資料とともにご紹介し、第二部では詩、美術評論、翻訳などの文業を、第三部では北九州と宗左近の関わりをご紹介しています。

第一部では作品第一作と記された書簡体小説「千恵子への遺書」や、旧制第一高等学校時代の作品「貝荢鈔」(『高尾懺悔』収録)の続きなど、未公開だった資料を展示しています。学生時代の宗左近の文業を語るうえで、とても重要な資料です。

第二部では宗の代表作『炎える母』の原稿、自筆ノート、そしてライフワークとなった《縄文シリーズ》を書き始めるきっかけとなった縄文土器二点を展示しています。今回の展覧会に合わせてご遺族からご寄贈いただいた品です。

第三部は北九州と宗左近。生まれの地でありながら、北九州とうまく折り合えなかった彼は90年10月、メキシコの詩人オクタヴィオ・パスがノーベル賞受賞の際に発言したとされる「詩は国の記憶である」という言葉(朝日新聞「天声人語」1990.10.13)を契機に、強く故郷を意識するようになったと考えられます。この年以降、故郷についての発言が増え、99年には中句(一行詩)集『響灘』を刊行しています。新聞記事切り抜きに宗が赤線を引いており、強い関心がうかがわれます。そのほか、川端康成文学賞候補作となった「故郷の名」(2003年)の自筆原稿などを展示しています。

最後に、展覧会のタイトル「宙のかけらたち」について、少し説明いたします。

宗左近の文業というのは、強く「向こう側」が意識されています。現実世界の先に透視される別の世界を言葉をもって浮かびあがらせようとする意志が、その言葉にはあります。宗は「宇宙」という語を使いますが、「宙(ソラ)」の一語でそれを表し、それを私たちに見せてくれる言葉の断片という意味で「宙(ソラ)のかけらたち」と展覧会を名づけました。

展覧会を通じて、「向こう側」=「宙」を感じていただければ幸いです。

学芸員 稲田大貴

 

 

 

 

 

 

 

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